こんにちは。三鷹・武蔵境・小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今日のコラムは、『愛犬・愛猫に最適なフードの見分け方』についてです。フードをパッと見て『うちの子に合うのはどれ?』と迷ったり、『ペットショップでおすすめされたから…』とフードを決めていませんか?フードには、粒の硬さ、しっとり感、水分の多さ…など、それぞれに実は理由や特性があります。「カリカリ」「ウェット」「半生」この食感と水分量の違いは、単なる嗜好性の問題ではなく、ペットの消化の負担や必要な水分摂取量を左右します。この3タイプ(ドライ、セミモイスト、ウェット)の特徴を深く理解し、愛犬・愛猫の年齢や健康状態に合わせた最適なフードを選ぶための知識を身につけましょう!ドライフードについて水分量が10%以下のカリカリとした固形状。最も一般的な主食です。メリット① 長期保存が可能水分量が低いため腐敗しにくい。災害時用の保存食としてもおすすめです。メリット② 栄養管理のしやすさと利便性ドライフードの多くは「総合栄養食」であり、水とドライフードだけで必要な栄養素がバランス良く摂取できるよう設計されています。軽くて小分けにしやすいので、旅行への持ち運びや災害時など、様々な場面で手軽に利用できます。メリット③ 歯垢・歯石がつきにくいカリカリとした適度な硬さの粒を噛むことで、ウェットフードに比べて歯垢が付きにくい傾向があります。メリット④ アレンジのしやすさ子犬・子猫、歯が弱ったシニア犬・シニア猫や食欲がない子には、お湯やぬるま湯でふやかして柔らかくして与えることができます。ライフステージや体調に合わせて硬さを調整できる柔軟性があります。ウェットフードや手作り食材をトッピングして与えるベースとしても使いやすいです。デメリット① 水分摂取量が不足しやすいドライフードは水分含有量が10%程度以下と非常に少ないため、食事からの水分摂取がほとんど期待できません。デメリット② 嗜好性が低い場合がある水分が少なく香りが弱いため、においで食べ物を判断する犬や猫、特に食が細い子や好き嫌いの激しい子は食いつきが悪くなることがあります。デメリット③ 消化や咀嚼の負担カリカリとした硬さがあるため、歯周病などで口に痛みがある場合には食べづらいことがあります。ウェットフードについて水分量70%~80%程度。缶詰やアルミパウチなどに密閉された、水分の多いタイプです。メリット① 嗜好性の高さと食べやすさ水分が多く香り高いため食欲を刺激します。口腔内に問題を抱える子や食欲が落ちた子にも非常に有効で、消化吸収に優れています。メリット② 効率的な水分補給水分量が多いため食事をしながら水分を補給できます。特に水をあまり飲まない猫や、腎臓病など飲水量を増やしたいペットにとって、最も大きなメリットです。メリット③ 未開封時の長期保存性缶詰や密閉されたパウチは、製造過程で殺菌処理されているため、未開封であれば長い期間常温で保存が可能です。災害時の非常食としても適しています。デメリット① 栄養の種類に注意が必要ウェットフードには、栄養バランスが完璧な「総合栄養食」と、あくまでトッピングやご褒美用の「一般食(副食)」があります。総合栄養食ではないウェットフードだけを与え続けると、栄養が偏ってしまうため、パッケージの記載をよく確認する必要があります。デメリット② 歯垢・歯石のリスク柔らかく粘り気があるため、歯に付着しやすいです。ドライフードのような咀嚼による歯の清掃効果も期待できないため、ウェットフードを主食にしている場合は、食後の丁寧な歯磨きが不可欠です。デメリット③ 偏食の原因になる可能性・高コスト嗜好性が高すぎるため、ウェットフードに慣れてしまうと、他のフードを食べなくなる可能性があります。また、水分を多く含むため一度開封すると傷みやすいです。開封後は密閉して冷蔵保存しても、その日のうち、もしくは1〜2日以内に使い切る必要があります。セミモイストフードドライフードとウェットフードの中間に位置するタイプのフードで、水分含有量は一般的に25%〜35%程度です。(日本国内の目安)メリット① 嗜好性が高い水分を多く含み、素材の香りが立ちやすく、食感も肉に近い(ドライより柔らかい)ため、食いつきが非常に良い傾向があります。食が細い子や、ドライフードに飽きた子にも有効です。メリット② 適度な水分補給と食べやすさドライフードに比べて水分量が多く柔らかいため、噛む力が弱くなったシニア犬・シニア猫にも適しています。歯や口に痛みがある場合でも比較的楽に食べられます。メリット③ 給餌と保存のバランス ウェットフードのように毎回冷蔵保存する必要がなく、また、個包装されている製品が多いため、保存管理が比較的容易です。(ただし、ドライフードよりは短期間での消費が必要です。)デメリット① 添加物が多く使われがち水分量が多いため、一度開封するとドライフードに比べて酸化や乾燥が進みやすく、カビも生えやすくなります。そのため、製品の品質を保つために湿潤調整剤(グリセリンなど)や保存料(防カビ剤など)が、ドライフードやウェットフードよりも多く使用されている場合があります。デメリット② 歯垢・歯石のリスク柔らかく、しっとりとした食感のため、歯に残りやすく、歯垢や歯石が蓄積しやすくなるため、毎日の丁寧なデンタルケアがより重要になります。デメリット③ 高コスト小分け包装になっている製品が多いことや、水分量が多いため、ドライフードと比べるとカロリーあたりのコストが高くなる傾向があります。フードを選ぶ時のポイントフードにはそれぞれメリット、デメリットがあるため一概にどちらのフードが良いということはありません。ライフステージや病気、好みや体調を考えて選んであげると良いでしょう。各フードの特徴を理解し、フードの併用もおすすめです。いきなりフードを変更してしまうと、消化器症状が出てしまう場合があります。いつも食べているフードが入手困難になったり、災害などの不測の事態に備え、何種類かのフードを食べ慣れておくのもおすすめです。動物病院でよく相談されるのが、お薬を飲ませるのが難しいということ。生涯投薬が必要な病気になったり、お薬の種類が増えたり、様々なことが考えられます。元気な時にお薬を混ぜてあげられそうなフードや、とっておきの大好物を見つけておくのも大切です。(参考コラム:お薬の飲ませ方について)最後にドライ、半生、ウェット... どのフードにも、皆様が可愛い家族を想うたくさんの工夫が詰まっています。大切なのは、毎日ごはんを『美味しいね』と喜んで食べてくれること。そして、飼い主であるあなたが『これで大丈夫』と安心して与えられることです。今日から、それぞれのフードの良いところを活かして、愛犬や愛猫がもっと元気で、幸せに過ごせるような、愛情たっぷりのごはんの時間を作ってあげてくださいね。三鷹アニウェル動物病院でのサポートについて当院では、病気の予防や治療のほかにも、ワンちゃんネコちゃん等の日常の生活でのお悩みについてもご相談いただけます。子犬や子猫は特に、「ごはんで遊んでしまう」「ごはんを完食してくれない」など食事にまつわる悩みもよくあります。動物病院というと、健康や病気に関連することしか聞けないのかな?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そんなことはありません!沢山の方が、日常のお悩みでもご相談されますので、遠慮なくご連絡くださいね。動物たちも一人ひとりに性格があり、同じ対応を行ってもすべての子に効果があるものではありません。「お散歩中にほかの人やわんちゃんに吠えてしまう」「お留守番が苦手」「興奮して手に負えない時がある」等、お悩みのことがあれば、ぜひ一度ご相談ください。その子のからだ全体や性格、生活環境、ご家族との関係性まで踏まえて、よい方向に進めるように一緒に考えていけたらと思います。