日本の夏は、私たち人間にとっても暑さが厳しい季節ですよね。特に、8月は気温が30℃以上の日が続き、地域によっては40℃近くになる日もあります。我々、動物病院のスタッフたちも連日の暑さでヘトヘトになってしまう日も…。夏の日差しや気温は、人間と同様に犬や猫、うさぎ等の動物たちも熱中症や火傷してしまう可能性があります。ましてや地面により近い場所を歩く、動物たちにとっては人間以上に暑さを直接的に受けてしまいます。大切な家族の健康と命を守るために、今回は「夏の散歩に潜むリスクと今日からできる対策」についてお伝えします。夏の散歩の危険性肉球の火傷を防ぐために。想像以上に危険な「地面の暑さ」について皆さんが想像する以上に、夏の昼間は様々な場所が危険なほどの高温になります。アスファルト・コンクリート:夏の日のアスファルトは、気温よりもはるかに高い状態になっています。外気温が30℃の日でも、日中のアスファルトの表面温度は60℃を超えることも珍しくありません。“目玉焼きが焼けるほどの熱さ”と考えると想像しやすいでしょう。マンホール・金属製の蓋:これらはアスファルト以上に熱を蓄えやすく、触るとやけどするほどの高温になります。鉄製の橋や階段、側溝の蓋、遊具など:マンホール同様、金属製のため非常に高温になります。不用意に触れたり、体を預けたりすると、肉球だけでなく体毛の薄い部分(お腹、内股など)や、顔、鼻などをやけどする可能性があります。砂浜:一見、コンクリートよりや金属部分よりは涼しそうに見えますが、日中の砂浜は熱されており肉球やけどの原因になります。デリケートな動物の肉球は、このような高温の地面に数分触れるだけで低温やけどを負ってしまいます。見た目では分かりにくくても、水ぶくれになったり、皮がむけたりして、強い痛みを伴います。また、地面に近い動物たちは、アスファルトからの照り返し熱も直接受けるため、私たち人間よりもはるかに高い体感温度にさらされているのです。犬や猫はほとんど汗をかけない!恐ろしい「熱中症」の危険人間は全身の汗腺から汗をかいて体温を下げることができますが、犬や猫の汗腺(エクリン腺)は肉球にしか存在しないため、人間のように体温調節することはできません。犬は口を大きく開けてハアハアと息をしたり(パンティング)、猫は全身を舐めたりすることが主な体温調節方法です。熱中症になると、最悪の場合多臓器不全を引き起こし、命を落とすこともあります。 特に短頭種や長毛種、肥満、高齢、心臓病や呼吸器疾患などの持病がある動物は、熱中症のリスクが非常に高いため、より一層の注意が必要です。(参考コラム)大切な家族を守る! 動物たちの熱中症対策と応急処置夏のお散歩の推奨時間愛犬を危険から守るために、夏の散歩は時間帯が非常に重要です。他の季節に比べて、早起きが必要であったり、生活リズムを変えなくてはならないこともあるかと思います。愛犬、愛猫の健康と命を守るためにお散歩の時間を工夫する必要がありますが、人間自身の生活や熱中症のリスクもありますので、無理にないように涼しい家庭の中で十分に遊ぶなどの工夫も織り交ぜながら無理のない生活を過ごすのがよいと考えます。【推奨時間帯1】早朝:午前5時~7時までの間日が昇りきる前で、地面の熱が十分に冷めている時間帯です。【推奨時間帯2】夜:午後7時以降(日が完全に沈み、地面の熱が冷めてから)日が沈んでも、アスファルトやコンクリートはすぐに冷めません。日が完全に落ち、十分に地面の熱が冷めるのを待ちましょう。愛犬・愛猫の命を守るためにできること涼しい時間帯に散歩するこれが最も大切です。上記の時間を参考にしてみてください。地面の温度を確認する必ずご自身の手で確認してください。手のひらで地面を触ってみて、5秒以上触っていられないほど熱いと感じたらまだ散歩には危険な温度です。散歩中は常に水を携帯し、こまめに水分補給を行う動物用の給水器を忘れずに持ち歩きましょう。アスファルトを避けるどうしても日中に散歩が必要な場合は、日陰や芝生、土の上を選び、短時間で済ませましょう。異常を感じたらすぐに動物病院へもし熱中症の症状やぐったりしている様子が見られたら、すぐに応急処置をしながら動物病院へご連絡ください。夏の暑さから大切な家族である動物たちを一番近くで守ってあげられるのは、飼い主さんだけです。正しい知識を持ち、安全に夏を乗り切りましょう。何かご心配なことがあれば、いつでも当院にご相談ください。