こんにちは。三鷹・武蔵境・小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今日のコラムは、『尿検査における採尿方法』についてです。愛犬・愛猫の健康を守るためにも、定期的な健康診断をおすすめいたします。その中でも重要な検査方法である尿検査。しかし、ご自宅で採尿する方法を知っている方は少ないのではないでしょうか?ご自宅で採尿するメリットもありますので、ぜひ参考にしてみてください。(参考コラム)尿検査の重要性についてはじめに尿検査は、腎臓や膀胱、糖尿病などのさまざまな病気の早期発見に非常に重要な検査です。私たち動物病院では、より正確な検査のために病院での採尿をお勧めすることもありますが、ご自宅で採ってきていただくことで動物への心身の負担を減らして検査することができます。このコラムでは、自宅で簡単かつ正確に採尿する方法、採るときの注意点や保管方法などを詳しく解説します。ご自宅でできる採尿方法ご自宅での採尿は、動物がリラックスした状態で採れるという大きなメリットがあります。動物たちの習慣を日頃からよく観察し、排尿のタイミングを把握しておくことで採尿が成功しやすくなります。用意するもの採尿用の清潔な容器(紙コップ、食品トレー、お玉など)スポイトフタ付きの密閉容器(醤油さし、ジャムの空き瓶など)当院でも採尿キットをお渡しできますので、お気軽にご相談ください。使用する容器はよく洗浄し、しっかりと乾燥させ清潔な状態にしておきましょう。特に食品のカスや洗剤が残っていると誤った検査結果が出る可能性があります。採取した尿は清潔なスポイトで吸い取ってフタ付きの密閉容器に移し、チャック付きの袋などに入れてお持ちください。採尿から検査までの時間経過による影響も考慮して検査結果を評価するため、採尿した時間(〇月〇日 〇時〇分)を記録しておいてください。犬の採尿方法1.排尿時に直接採尿する排尿姿勢をとった際に、清潔な容器(紙コップや食品トレーなど)を地面に触れないように差し込んで尿を受け止めます。【ポイント】お散歩中が最もタイミングを計りやすいです。(砂や植物などが混入しないようご注意ください)オス犬は、足を上げた瞬間に横から差し込むと成功しやすいです。メス犬は、しゃがんだ姿勢になったらお尻の後ろから差し込むのがコツです。最初は警戒して止めてしまうこともあるので、何度か試してみましょう。2.トイレで採尿する普段使用しているペットシーツを裏返し、ビニール面の上に排尿させます。シーツの上にラップやビニールを敷いても同様に採取できます。【ポイント】慣れない感触を嫌がる犬もいます。嫌がる場合は無理せず、散歩中の採取を試してください。猫の採尿方法猫は非常にデリケートなため、採尿自体がストレスにならないように注意しましょう。システムトイレの活用システムトイレを使用している場合、下段のトレーにあるペットシーツを裏返しておくと、尿が吸収されずに溜まります。【ポイント】トイレを清潔にしておくと、より正確に検査ができます。猫砂を減らす/使わないトイレをきれいにし、猫砂を極力少なくするか、または猫砂を入れずにトイレの底に溜まった尿を採取します。【ポイント】専用の採尿用チップ(水分を吸収しない砂状のもの)も市販されています。普段と違う砂を嫌がる猫もいます。その場合は無理せず、別の方法を試してください。排尿時にキャッチ尿が出始めたら、清潔な容器を差し込んでキャッチします。特に猫は警戒心が非常に強いため、紙コップよりもお玉やスプーン状の調理器具など柄が長く距離を取れる物のほうが成功しやすくなります。【ポイント】トイレに入ってすぐや尿が出始めた時に近づくと警戒して排尿をやめてしまうため、尿が出始めて猫の動きが止まり、排尿が安定したタイミングを狙って静かに容器を忍び込ませます。猫の視界に入らないよう、お尻の後ろから容器をそっと差し込みましょう。猫の性格やトイレの習慣によっては直接キャッチは大きなストレスとなり、採尿が成功しないだけでなくトイレ嫌いにつながる恐れもあります。無理のない範囲で試してみてください。ご自宅で採る際の注意点と保管方法採尿時の注意点尿以外のもの(トイレの砂、糞便、毛、土など)が混入しないよう、十分ご注意ください。混入すると正確な検査が難しくなります。最低でも1.5mL(できれば3mL程度)お持ちください。(ご持参いただいた尿が少ないと、検査ができない場合もあります。)保管方法採取した尿は、なるべく空気に触れないようすぐに密閉できる清潔な容器に入れ、しっかりフタを閉めてください。1. 当日中に持ち込む場合朝採った尿をその日の午前の診察に、もしくはお昼ごろに採った尿をその日の午後の診察にお持ちいただくなど、採尿から数時間以内のご来院であれば常温で保管してください。ただし、直射日光が当たる場所や暖房の近く、車内など高温になる場所は避けてください。2. 翌日以降に持ち込む場合採尿の翌日以降の診察になる場合は、冷蔵庫で保管してください。冷蔵庫に入れることで尿の成分が変化したり、雑菌が増えたりするのを遅らせることができます。※検査の内容によっては保管方法が異なる場合があります。ご不安な点がありましたら獣医師にご相談ください病院での採尿方法カテーテル採尿尿道から細いチューブ(カテーテル)を挿入し、膀胱内の尿を採取する方法です。カテーテルを挿入する際、キシロカインゼリー(局所麻酔薬)を使用して尿道内を滑りやすくし、なるべく痛みを軽減できるよう配慮して行っています。主にオスの採尿に用いられます。膀胱穿刺お腹の外から細い針を刺し、膀胱内の尿を直接採取する方法です。通常、超音波(エコー)で膀胱を確認しながら行います。動物への負担も少なく、数十秒ほどで採尿することができます。最も清潔な(無菌的な)尿を採ることができ、検査の正確性が非常に高くなります。病院と自宅での採尿のメリット・デメリットメリットデメリットご自宅・ストレスを最小限に抑えられる普段生活している環境でリラックスした状態で採れるため、動物への負担を最小限に抑えることができるのが最も大きなメリットです。病院が苦手な子には特に適しています。・費用がかからない病院での採尿代がかかりません・正確性に欠ける可能性がある尿道口や外陰部、容器、環境中の雑菌、汚れ、分泌物などが混入しやすく、特に細菌や白血球、潜血などの結果に影響を与えることがあります。・検査結果に影響が出る可能性がある採取から検査までの時間がかかるため、時間経過と共に細菌が増殖したり、尿中の成分(結晶など)が変化したりして、正確な結果が得られないリスクがあります。・採尿の難易度が高い特に猫や、警戒心が強い犬の場合、排尿中にキャッチするのが難しく飼い主さんの手間と時間がかかります。病院・最も正確な検査結果が得られる膀胱穿刺では、外部からの雑菌や不純物が一切混入しない、最も清潔な尿(無菌尿)が採取できるため、特に細菌感染の有無を正確に診断できます。また、採尿後すぐに検査をすることができるため、時間経過による菌の増殖などがない新鮮な状態での検査が可能です。・確実に・素早く採尿できる自然排尿のタイミングを待たずに採尿することができます。またカテーテル採尿の場合、尿量が少量であっても採取することができます。・動物にストレスがかかる慣れない環境と処置により、動物が不安やストレスを感じることがあります。・費用が発生する病院での採尿代がかかります。※病院で膀胱穿刺により採尿をする際、尿量が少なすぎると採取できない可能性があります。病院での採尿をご希望の場合は、ご来院直前の散歩や排泄はできる限り控えてください。犬・猫そして飼い主様にとっても負担の少ない方法を「自宅での採尿が難しい」「新鮮な尿が採れるか不安」という場合は、無理せず当院にご相談ください。それぞれの状況に応じた最適な採尿方法を一緒に考えていきましょう。三鷹アニウェル動物病院での健康診断について当院では、犬や猫の定期的な健康診断を推奨しています。特に症状がない状態であっても年に1回、7歳以上のシニア期にはいると年に2回程度の実施をおすすめいたします。当院では、2025年11月30日(日)まで「秋の健康診断キャンペーン」を実施しております。この機会に尿検査を受けてみてはいかがでしょうか。キャンペーンについて秋の健康診断キャンペーン