こんにちは。三鷹・武蔵境・小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今日のコラムは、『愛犬・愛猫のうんちでの健康チェック』についてです。ワンちゃん、ネコちゃんの毎日の「うんち」。処理する際にサッと見て終わり、という方も多いのではないでしょうか?しかし、実はこの「うんち」こそが、ペットの消化吸収の状態や体調を知らせてくれる大切な健康のバロメーターです。便の状態を客観的に評価するために、動物医療の分野では「糞便(ふんべん)スコアチャート」というツールがよく使われています。このチャートを使って、愛するペットの健康状態をチェックしてみましょう。糞便スコアチャートとは?糞便スコアチャートは、便の形と硬さを基準に、点数(スコア)をつけて評価するものです。一般的には、スコアが低いほど硬く、高いほど柔らかい(下痢に近い)状態を示します。動物病院に行く際は、便の写真を持参したり、糞便スコアに照らし合わせてどのスコアの便なのかを伝えることで、診断の手がかりとなります。実際の糞便スコアと、どういう状態の見た目なのかは、以下のリンクよりご確認ください。※実際の糞便の写真が掲載されておりますので、閲覧にはご注意ください。出典:PURINA糞便スコアチャート理想的な便はどのスコア?それでは、理想とする便はどのような状態なのでしょうか。色・形・硬さで見ていきます。スコア2に近い便を「理想的」としています。出典:PURINA糞便スコアチャート ◆ 色: 健康的な茶色~濃い茶色 ◆ 形: 熟したバナナやソーセージのような円柱状 ◆ 硬さ: 拾い上げても形が崩れず、適度な弾力がある状態(練り歯磨きと粘土の中間のようなイメージ)この状態の便は、消化・吸収がしっかり行われ、腸内環境が整っているサインです。こんな便には要注意!便には、愛犬・愛猫の健康状態が詰め込まれています。感染症や寄生虫、アレルギー、内臓疾患など、様々な体調が現れますので、以下のような症状が見られたら要注意です。異常が認められる場合は、動物病院へ相談しましょう。カチカチのコロコロ便便秘や脱水のサイン。排便時の痛みや、排便の姿勢を長く取っているのに便が出ない「しぶり」を伴う場合は要注意。下痢(軟便~水様便)が続いている食事の急な変更、ストレス、寄生虫、感染症、アレルギー、内臓疾患など、様々な原因が 考えられます。続く場合は動物病院へご来院ください。特に、血が混じる、嘔吐がある、元気が無いといった症状を伴う場合は緊急性が高いです。色に異常がある黒っぽい便(タール便):胃や小腸など、消化管の上部からの出血の可能性。緊急性が高いです。白っぽい/灰色っぽい便:胆汁が十分に分泌されていない可能性があります。脂肪が消化されずに排出されているサインです。膵外分泌不全の可能性もあります。赤っぽい便(血便):大腸や肛門など、消化管の下部からの出血の可能性あります。緑色の便:消化管の通過時間が短く、胆汁の色素が変化しきれていない状態。激しい下痢の際に見られることがあります。ニオイに異常がある/いつもと違う食事内容によっても変わりますが、腸内細菌が便のにおいに大きく影響します。食事を変えていないのにいつもと違うにおいがしたり、ツンとする酸っぱいにおいがするときなどは、お腹の不調のサインの可能性があります。内容物に異常があるゼリー状の粘液:便の表面に透明〜白っぽいゼリー状のものが付着している場合は、大腸の炎症(大腸炎)のサイン。寄生虫:白い粒や糸状の異物は寄生虫(条虫など)の可能性が高いです。異物の混入:おもちゃの破片、ビニール、布などの混入は、誤食のサインです。排便の様子に異常がある回数の急激な増加/減少:普段の回数と比べて極端に多い(下痢など)または少ない(便秘など)場合排便時の痛みや「しぶり」:トイレで何度も排便の姿勢をとるが少量しか出ない、または全く出ない、鳴くなど痛がる様子がある場合。これらの異常が見られた場合は、スコアに関わらず、必ず動物病院にご連絡ください。おわりに日々の「うんちチェック」は、ペットの健康を守るための重要な習慣です。スマートフォンなどで便の写真を撮っておくと、診察時に獣医師に正確に伝えやすく、診断の手がかりとなります。「ちょっと変かな?」と迷った時は、お気軽に当院にご相談ください。私たちと一緒に、大切な家族の健康をしっかりと守っていきましょう。三鷹アニウェル動物病院での診療について糞便や排便時の動作の異常は、愛する動物さん達にとって重大な異変を表しているサインであることが多いです。糞便に直接的に影響のある消化器官だけでなく、他の臓器や場合によってはストレス等の精神面でのトラブルの可能性もあります。当院では、症状だけで判断するのではなく、その子の生活スタイルや性格にあわせた総合的な診療を大切にしております。「なんかおかしいな?」「ちょっと変かも?」というような些細なことでも、遠慮なくご相談くださいませ。また、他の動物病院にかかっている方でも、セカンドオピニオンのご相談なども受け付けておりますので、ぜひともご相談ください。