こんにちは。三鷹・武蔵境・小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今日のコラムは、『自宅で出来る、犬の心臓病チェックポイント』についてです。心臓病は、人間の死因としても2番目に多い疾患です。犬も同じで、ガンについで2番目に多い約17%が心臓病で亡くなると言われています。特に、チワワ・トイプードル・マルチーズ・ポメラニアン・シーズー・ミニチュアダックスフンド・キャバリアなどの犬種は、心臓病の発症リスクが高いとされておりより注意が必要です。(関連コラム)犬の心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」について心臓病は、早期発見が何よりも大切ですどれだけ日頃から気をつけて生活をしていても、高齢に伴う発症や遺伝性の要素も強いため、心臓病を防ぐには限界があります。しかし、早期発見さえできれば薬物療法で心臓の負担を減らすなどの投薬での治療が可能です。動物病院での定期健診(心音の確認や血液検査)、エコー検査、心臓バイオマーカー検査を行うことで、初期症状を発見できる確率が大幅にあがります。症状が出てから検査をするのではなく、健康だと思えている時からしっかりと検査をすることが愛犬の命を救う上で大切です。動物病院へ検査へ行くことが重要ではありますが、自宅で出来るセルフチェックもあります。愛犬の変化を感じている飼い主様は、ぜひ参考にしてください。1.心音をチェックする心臓の音を聞くのは、動物病院で聴診器を使って聞くことが正しいチェックの仕方です。しかし、愛犬の左胸あたりに耳を当てると、心音を聞くことも可能です。正常な心臓は「ドクン・ドクン」というような心音です。しかし、心臓にトラブルを抱えていると「シャー」「ザー」「ザザッ」というような雑音が混じります。正しく心音を確認するためには、動物病院での受診を推奨しますが、ご自宅でもぜひ確認してみてください。2.心拍数を確認する成犬の心拍数は、安静時(リラックスして横になっているときや寝ている時)では、1分間で小型犬で60~80回、大型犬で40~50回が正常です。子犬の場合、成犬よりも心拍数は多いため上記の数値を超えていても問題ないケースもあります。心拍数の測り方左胸の心臓の位置に、手のひらか耳を当てて、1分間に何回鼓動があるかを数えます。1分が難しければ、15秒だけ数えて4倍する/20秒だけ数えて3倍する等でもOKです。3.呼吸数を測る呼吸数と心不全には密接な関りがあります。心臓にトラブルを抱えていると、全身の血液の巡りが少なくなり、脳内の酸素が不足します。脳は酸素をより取り込むように肺に命令をかけて、呼吸数が増えます。また、心臓病のなかでも発症数が最も多い「僧帽弁閉鎖不全症」が進行すると「肺水腫」になり、呼吸が苦しくなるため呼吸数に影響が出てきます。安静時における成犬の呼吸数は、小型犬で1分間に20回前後、大型犬では15回位です。30回を超えると異常なサインです。40回を超えた時は心不全を示す危険なサインとなり、救急対応が必要だと思われます。呼吸数の測り方寝ているときやリラックスして安静にしているときに測ります。「吸って・吐いて」で1回です。呼吸音が聞こえにくい時は、胸が膨らむ回数を計測してもOKです。4.食欲の変化がないか犬も体調が悪くなれば、食欲もあわせて落ちるケースが多いです。さらに、食欲減退と共にもう一つ特徴的な症状が偏食です。偏食とは大好きなものを急に食べなくなり、目新しいものだけをよく食べる。少しするとまた違うものを食べたがるといった傾向が出ます。また、急激に体重が落ちている場合も注意が必要です。5.散歩での様子が変わっていないか心臓にトラブルを抱えると、呼吸が辛くなる・疲れやすくなる傾向がでます。お散歩の途中で、座り込んだり、立ち止まる回数が増えた場合は注意が必要です。心臓病の疑いがある場合は、散歩は極力短く、ゆっくりとした速度で行うことが大切です。6.被毛や皮膚の状態を確認心臓にトラブルを抱えると、血の巡りが悪くなるため、被毛がパサパサしたり脱毛が起きたりすることがあります。また、舌や歯茎などの粘膜が青白い、紫色をしているなどがあれば、チアノーゼを起こしている可能性があります。酸素が足りずにとても苦しい状態ですので、救急対応が必要になります。7.咳の回数が多い健康な犬は基本的には咳が少ない生き物です。心臓が大きくなり気管を圧迫していたり、肺水腫になっていると、犬も咳き込むようになります。咳き込む回数が多い場合は、心臓病が進行している可能性があります。三鷹アニウェル動物病院での検査・治療について当院では、愛犬が若いうちからの定期健診やエコー検査、心臓バイオマーカー検査を推奨しております。早期発見によって、その子やご家族にとっての最適な治療方針を共に考えていけたらと思います。当院での検査は勿論、投薬での治療や生活のコントロールをともに行っていきます。高度な外科手術を必要とする場合、提携している大学病院とも連携してスムーズな治療を受けられるように努めてまいります。