こんにちは。三鷹・武蔵境・小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今日のコラムは、『食糞の原因とその対策』についてです。「愛犬がウンチを食べているのを見て、思わず叫んでしまった…」そんな経験はありませんか? 食糞は飼い主さんにとっても悩ましい問題です。しかし、実は犬にとってごく自然な行動が原因であることも多いのです。食糞の主な原因を特定し、今日からすぐに実践できる具体的な対策をお伝えします!犬が食糞をしてしまう主な原因実は、全世界の犬の17%程は食糞がみられるそうです。この行動は祖先である狼から来ており、新鮮なうんちが自分の生活域にあった場合に、清潔を保つために食べてしまいます。現代のわんちゃんの食糞には様々な原因が考えられます。まずは原因をしっかりと理解していきましょう。生理的な要因栄養不足や消化不良:フードの量が足りない、またはフードが合わず消化吸収がうまくいっていないため、不足した栄養を補おうとしている可能性があります。特に子犬は消化器官が未発達なためうんちにフードの匂いが残り、未消化の便を食べてしまうことがあります。母犬の本能:子犬を育てている母犬が、巣を清潔に保つために子犬の便を食べるのは自然な行動です。環境的・行動学的な要因退屈やストレス:運動不足や留守番による退屈、飼い主さんとのコミュニケーション不足などからくるストレス解消のために食糞をすることがあります。好奇心・遊び:特に子犬は、便の匂いや形に興味を持ち、遊びの一環として口にすることがあります。飼い主さんの気を引く行動:食糞したときに飼い主さんが大声を出したり、慌てて近づいたりすると、「注目してもらえる」と学習し、繰り返すことがあります。証拠隠滅(叱られた経験から):排泄した際に厳しく叱られた経験がある犬は、「排泄=悪いこと」と学習し、排泄物を隠す(食べる)ことで叱られることを避けようとすることがあります。その他にも、とにかく食いしん坊な子や、食糞をすることがただただ癖になっている等の理由も考えられます。食糞を直したほうがいい理由食糞は、犬の行動としては完全に異常ではない場合もありますが、それでも直すことが推奨されます。「自分の排泄物だから大丈夫」と考える方もいますが、いくつかの観点から、できるだけやめさせる方が愛犬にとっても飼い主さんにとっても良いと言えます。 感染症と病気のリスク散歩中に他の犬や動物の便を食べると、寄生虫や病原菌に感染するリスクが非常に高くなります。特に子犬の場合に多いのですが、寄生虫に感染している状態でその卵が含まれた便を食べてしまうと、犬は自分の体内で寄生虫の再感染を繰り返す悪循環に陥ってしまいます。食糞した口で飼い主さんを舐めたり、物を噛んだりすることで、菌や寄生虫が人間にうつる可能性があります。食糞への対策まずは健康状態のチェックと、便を食べる機会を減らすことが重要です。健康面の確認と食事の見直し獣医師への相談:消化器系の病気や寄生虫が原因の可能性もあるため、まずは動物病院で健康診断や検便をしてもらいましょう。食事量の見直し:フードの量が足りているか、犬の成長や活動量に合った栄養バランスのフードかを見直します。消化吸収の良いフードに変更するのも効果的です。 環境と行動の修正便の速やかな処理:排泄後すぐに便を片付け、犬が便に興味を示す前に食べる機会をなくすことが最も大切です。叱らずに、黙って冷静に片付けましょう。食糞時の対応:食糞しているところを見ても、大声を出したり、慌てて叱ったりしないことが重要です。「構ってもらえる」と学習するのを防ぎます。気をそらす工夫:排泄後、もしくはうんちに興味を示しているのを見つけたら、すぐに呼んで、来てくれたことに対して美味しいおやつをあげます。うんちを食べている最中だとしても、名前を元気に呼んで美味しいおやつをあげ てください。毎回うんちをした時におやつで呼び寄せて、与えるようにしていくと、うんちが出たら美味しいおやつがもらえると学習します。このようにしていくとうんちが出たことをおやつのために知らせに来るようになる様になっていきます。食糞の解消には時間がかかることもあります。焦らず、原因を特定し、愛犬に合った方法で気長に取り組んでみてください。三鷹アニウェル動物病院でのサポートについて当院では、病気の予防や治療のほかにも、ワンちゃんネコちゃん等の日常の生活でのお悩みについてもご相談いただけます。動物病院というと、健康や病気に関連することしか聞けないのかな?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そんなことはありません!沢山の方が、日常のお悩みでもご相談されますので、遠慮なくご連絡くださいね。動物たちも一人ひとりに性格があり、同じ対応を行ってもすべての子に効果があるものではありません。「お散歩中にほかの人やわんちゃんに吠えてしまう」「お留守番が苦手」「興奮して手に負えない時がある」等、お悩みのことがあれば、ぜひ一度ご相談ください。その子のからだ全体や性格、生活環境、ご家族との関係性まで踏まえて、よい方向に進めるように一緒に考えていけたらと思います。