こんにちは。三鷹・武蔵境・小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今日のコラムは、『愛犬・愛猫の被毛が濃くなる理由』についてです。皮膚トラブルをきっかけに、犬や猫の毛の色が濃くなったと感じた方もいるのではないでしょうか?当院でも皮膚トラブルのご相談をいただくことが多く、その後に被毛に変化があったとご連絡いただくことがあります。本コラムでは、その理由を解説していきます。被毛の色が濃くなる理由として考えられること簡単に言うと、「皮膚の炎症後反応でメラノサイトが刺激される → メラニン産生増加 → 新しい毛が濃い色になる」が被毛の色が濃くなる要因です。炎症によるメラノサイト刺激皮膚炎や外傷の後、その部位の基底層にあるメラノサイトが活性化します。その結果、毛包のメラノサイトからメラニン色素が多く産生され、再生してきた毛が黒っぽく(色素沈着様)見えます。炎症後色素沈着の一環人間の皮膚でも湿疹やニキビの跡が濃い色になるのと似ています。動物では皮膚そのものだけでなく、毛にも反映されるのが特徴。一時的な毛周期の変化炎症で一度毛包が休止期に入り、その後再生する際に毛幹の性状が変わることがあります。新しい毛は太く・硬く・色素が濃いことがあり、これが目立って「濃い毛が生えた」と感じる原因になります。慢性炎症に伴うメラニン沈着の持続慢性的な皮膚病(アトピー、膿皮症など)では表皮・毛包基底部にメラニンが沈着しやすく、結果的に毛も黒ずんで生えます。色が濃くなった被毛はどうなるの?皮膚トラブルをきっかけにワンちゃんネコちゃんの被毛に変化が起きると、その後どうなるのでしょうか?一概には言えませんが、多くの場合は元の色に戻る場合が多いです。時間が経つと毛周期の更新で元の色に戻ることも多いです。犬や猫では特に「黒っぽく生えたあと、次の換毛で元の色に戻る」ケースがよくあります。ただし、慢性炎症や瘢痕化が強い場合はそのまま濃い色が続くこともあります。それ以外に考えられる被毛の色の変化の理由皮膚トラブルをきっかけに被毛の色が変わるケースはありますが、それ以外にも考えられる要因はあります。季節が変わると毛色も変わる「ダブルコート」を持つ犬や猫は季節ごとに毛色が変わることがあります。大まかに、春と秋には換毛期があり、春夏の毛と秋冬の毛では質や色が変わります。春夏の毛は少しゴワゴワとして硬く、秋冬の毛はやわらかくふんわりとした印象です。季節によって、毛色が変わる理由も、毛に含まれる「メラニン色素」によるものです。春夏には濃くなったような、秋冬には薄くなったような気がするかもしれません。逆のパターンもあります。写真で見比べてみると分かりやすいです。成長の過程で毛色が変わる子犬、子猫の頃から成長の過程で、毛色が変わる子も多いです。成長すると共にメラニン色素が増え、毛色が少しずつ毛色が濃くなる傾向があります。シニア期にはいったため毛色が変わる一般的に、犬猫ともに7歳を過ぎた頃からシニア期とされます。少しずつ薄くなっていく子が多いですが、薄くなった毛色がまた濃くなるということもあります。これは、加齢によって被毛のメラニン色素が不安定になるためです。ストレスや病気の影響生活環境が変わる等のストレスによって、健康状態に悪影響を及ぼしている可能性があります。また、メラニン色素を生成する細胞に異常が起きてしまう病気に罹患している可能性もあります。生まれつき遺伝子に異常がある状態かもしれません。獣医師に相談するなど、原因の特定を行うのも一つの手だと考えます。三鷹アニウェル動物病院での診療について今回のコラムで紹介した被毛の変化は、皮膚トラブルに起因することも多いです。そして、犬や猫、うさぎ、ハムスター、ハリネズミ等の多くの種類の動物さん達とそのご家族にとって、皮膚トラブルは身近なトラブルの一つです。当院でも、多くの方々からご相談いただきますが、皮膚トラブルの原因の特定や治療方法の選定は慎重に行う必要があります。ノミやダニ、寄生虫による影響やアレルギー・アトピー、他臓器の病気、生活環境など、皮膚トラブルの原因は多岐に渡り、それによって合う治療法も大きく異なります。また、犬種や猫種によっては、遺伝的に皮膚トラブルを起こしやすい子もいます。血液検査や問診、健診などを通じて、共に最適な治療方法を検討していけたらと思います。