こんにちは!三鷹・武蔵境・新小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今回のコラムは、『犬の涙やけ』について解説します。「うちの子、目の周りがいつも茶色っぽい…」そんなお悩みはありませんか? 愛犬の涙やけは、見た目だけでなく、かゆみや皮膚炎、さらには目の病気が隠れているサインかもしれません。涙やけはなぜできるの?その原因について涙やけは、主に涙の量が増えすぎたり、鼻へ流れる道が詰まったりすることで、目の周りに涙があふれてしまうのが始まりです。このあふれた涙が空気や紫外線で酸化すると赤茶色に変色し、さらに雑菌が繁殖することで、色が濃くなり、皮膚炎を引き起こすこともあります。涙やけの原因は様々ですが、代表的なものは以下の通りです。目の構造の問題:逆さまつ毛や、涙を排出する管(鼻涙管)の詰まりや狭窄などアレルギー:食物アレルギーや花粉、ハウスダストなど環境アレルゲンによるもの炎症・感染症:結膜炎や目の周りの雑菌の繁殖被毛や食事:目の周りの毛が長すぎたり、消化しにくい食事内容なども影響することがあります遺伝:顔の構造上、遺伝によって涙やけになりやすい犬種がいます自宅で出来る!涙やけのセルフケア涙やけの改善には、ご家庭での毎日のケアがとても大切です。以下のようなケアを小まめに行うことで、涙やけの軽減につながります。目の周りを清潔に:柔らかいガーゼやコットンを水や犬用洗浄液で湿らせ、優しく涙や目やにを拭き取ります被毛を整える:トリミングで目の周りの毛を短くカットし、涙が付着するのを防ぎましょう。食事内容の見直し:グレインフリーや単一タンパク質のフードを試したり、添加物の少ない消化しやすいフードを選ぶのも一案です。腸内環境を整える成分(プロバイオティクスなど)や、抗酸化成分、オメガ3脂肪酸を含むフードも良いでしょう。環境改善:ハウスダストや花粉対策のため、こまめな掃除や換気を心がけましょう。涙やけになりやすい犬種について犬種特有のお顔の構造や体質から、涙やけになりやすいわんちゃんが一定おります。また、犬種に関係なく白い毛のわんちゃんは、涙の色素が白い毛に染まりやすいため、涙やけにすぐに気づきます。小型犬体が小さな犬は生まれつき涙を排出する管(鼻涙管)が細いため、涙が詰まりやすいといわれています。トイプードルマルチーズチワワポメラニアン短頭種鼻の短い犬種は、顔の構造上生まれつき鼻涙管が曲がっていたり、狭くなっていたりする場合も少なくありません。また、眼窩(眼球の周りの骨の空間)が浅くなったりすることで、涙やけができやすいといわれています。涙やけ以外にも、目のトラブルが多いとされているので、定期的に健康診断を受ける等の予防が非常に重要です。シーズーフレンチブルドッグパグボストンテリアペキニーズチャウチャウブリュッセル・グリフォンキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルアレルギーになりやすい犬種アレルギー疾患がある犬の場合、目がアレルゲンに反応して痒くなります。結膜炎が生じる等の影響で、涙の量が増えることがあります。アレルゲンは、花粉やダニ、ホコリ、食物、ノミなど多岐にわたります。ハウスダストや花粉対策のため、こまめな掃除や換気を心がけましょう。また、アレルギー疾患を疑い、一度病院で検査してもらうとよいでしょう。柴犬アメリカンコッカースパニエルウエストハイランドホワイトテリアヨークシャーテリアミニチュアシュナウザーシーズーパグフレンチブルドッグラブラドールレトリバーゴールデンレトリバー老犬犬は年齢が上がると、涙の量をコントロールすることが苦手になるため、涙が出続けてしまうこともあります。また、免疫力が下がり、目や目の周りの病気やトラブルも起きやすくなります。こんな症状があれば、すぐに動物病院へ以下のような症状が見られる場合は、迷わず動物病院にご相談ください。目の疾患を抱えている可能性がありますので、一度しっかりと検査をすることをおすすめいたします。目の赤み、充血、腫れがある黄色や緑色の目やにが出る目をしきりに気にする、こするご自宅でのケアを続けても改善しない、または悪化している【症例①】逆さまつ毛を原因とする涙やけシーズーのチャッピーちゃんは長年の涙やけに悩んでいました。原因検査の結果、下まぶたの逆さまつ毛が原因と判明。治療法局所麻酔下で、その逆さまつげを抜去しました。処置後、涙の量が減り、涙やけと目の周りの赤みが劇的に改善。飼い主様にも大変喜んでいただきました。獣医師よりコメント涙やけが続く場合は、逆さまつ毛など目の病気が隠れていることもあります。逆さまつ毛は抜去してもまた生えてきますので、定期的なチェックをおすすめします。【症例②】涙やけ・流涙症の原因は歯周病ミニチュアダックスフンドのモカちゃんは、数年前からひどい涙やけと目の周りの皮膚炎に悩まされていました。シニア期に近づいてから涙やけが出るようになったそうです。原因検査の結果、進行した歯周病が原因で、その炎症が鼻涙管を閉塞させ、涙が溢れる「流涙症」を引き起こしていたことが分かりました。特に、右上の奥歯の歯周病が重度でした。治療法全身麻酔下で歯石除去と抜歯を行い、同時に鼻涙管の洗浄も試みました。 歯科処置後、歯周病による炎症が治まったことで、鼻涙管周辺の腫れが引き、流涙症の症状が大きく改善。涙やけも薄くなり、飼い主様にも大変喜んでいただきました。獣医師よりコメント高齢犬の涙やけや流涙症は、歯周病が原因であることも少なくありません。口臭や歯石が気になる場合はぜひ一度、歯周病を含めた目の検査をおすすめします。三鷹アニウェル動物病院での対応について涙やけは目の疾患の兆候かもしれません。そんな犬たちの身体に表れるサインを丁寧にくみ取り、原因の解明と治療をご家族と共に考えていけたらと思います。目の赤み、充血、腫れがある黄色や緑色の目やにが出る目をしきりに気にする、こする口臭が気になる目の異変に気が付くためにも、普段からわんちゃん達とのコミュニケーションを大切にしましょう!