こんにちは!三鷹・武蔵境・小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今日のコラムは、『犬の誤飲に関する対策と応急処置』についてです。お散歩中やお家の中で、愛犬が異物を口にしてヒヤッとした経験はありませんか?当院でも、犬の飼い主さまからよくいただくトラブル・処置として『誤飲』があります。誤飲は身近な事故でありながら、犬の命の危機にも直結する重大な問題です。今回は、誤飲のリスクを減らすためのポイントと、万が一のときの対応についてお伝えします。犬の誤飲が起こる場面とその原因誤飲は日常の中に潜んでおります。それは、お散歩中は勿論のこと、お家の中にもたくさん。以下のようなシーンで起こりやすいです。お散歩中に口にしてしまう公園や道端に落ちているビニール片、石、枝、落ちたお菓子の包装、タバコの吸殻などを誤って食べてしまうことも。室内環境にある小物を誤って飲み込んでしまうおもちゃやぬいぐるみの部品(綿、紐、ボタン等)、家庭用機器の部品(ネジ、電池、飾り)、衣類(布・靴下・靴紐・下着等)、ヘアゴムやクリップなど。人間の食べ物のゴミを漁ってしまうケースも多々あります。人間の食品を食べてしまう人間用の食品(骨、チョコレート、タマネギ、生ものなど)を口にしてしまうケースも多くあります。美味しい臭いがついているもの、夢中に遊んでしまうもの等、犬が本能的に執着してしまうものは誤飲してしまう可能性が高まります。誤飲が及ぼす可能性のある影響誤飲した物の性質、大きさ、形、材質、詰まった場所などによって影響はさまざまですが、主なリスクは以下のとおりです。影響説明消化管の閉塞・穿孔食道、胃、腸のどこかで物が詰まり、通過できなくなる。さらに尖ったものだと内壁を傷つけ穿孔(穴あき)を起こすことも。嘔吐・下痢・出血異物による刺激や腸壁の損傷で、嘔吐や下痢、消化管出血などを起こすことがあります。中毒誤飲物に有害な化学物質や薬剤が含まれていた場合、体内に吸収されて中毒を起こす危険があります。呼吸器系への誤嚥口〜咽頭で異物が気道に入り込み、窒息や呼吸困難になる可能性もあります。誤飲を疑うとき、確認すべきサイン犬が誤飲した瞬間を見た場合は、すぐに動物病院へ相談しましょう。後述いたしますが、応急処置が何よりも大切です。もし、目を離した隙やお留守番時に誤飲してしまった可能性がある場合も、可能な限り動物病院へ相談することをおすすめいたします。すぐに動物病院へ連れていけない場合、いつも以上に注意深く観察し、次のような兆候がないかよく確認してください。突然の激しい嘔吐、または繰り返す嘔吐食欲不振、全く食べない元気消失、ぐったりしている腹部の張り、痛がる仕草(触ると嫌がる)排便不調(排便がない、血便、下痢など)口やのどを気にする仕草(口をモゴモゴ、よだれが多いなど)呼吸困難、咳・ガーガーというような呼吸音繰り返しになりますが、誤飲の可能性がある場合は、すぐに動物病院へ相談し判断を仰ぐようにしましょう。命の危機がせまりますので、時間をあまり置かずに動物病院へ相談することが重要です。万が一の場合の対処ステップ誤飲に気づいた際、以下の手順で対応を考えていただくと良いでしょう。焦らない慌てて無理に口をこじ開けたり、指を入れて異物を取り出そうとすると、かえって異物を奥に押し込んでしまうことがあります。また、口に手等をいれると犬の口腔内を傷つけてしまうリスクも高まりますし、飼い主さんが噛まれてケガをしてしまう可能性もあります。情報を整理するどんな物を誤飲したか(形、材質、大きさ、色など)、いつ頃か、量、発見時の症状などをできるだけ把握しておきましょう。家庭療法は自己判断しない誤飲物の種類によっては嘔吐が逆効果になることがあります。また、誤飲したものによっては、水を飲ませることが命取りになる場合も。例えば、タバコを誤飲した場合に水を飲ませてしまうとニコチンが溶け出し、吸収を早めてしまうリスクがあります。動物病院へ早急に受診する診察・X線検査(レントゲン)や超音波、内視鏡、外科手術によって対処いたします。場合によっては、「催吐処置」として、薬によって吐き出させる処置も行います。獣医師の指示に従う・経過観察獣医師からの指示(絶食、点滴、投薬、手術のタイミングなど)を守り、変化をしっかり観察しましょう。誤飲リスクを下げる予防対策犬の誤飲を防ぐためには、しつけもそうですが飼い主が十分に注意深く生活することでそのリスクを大幅に減らすことができます。以下のポイントを日常に取り入れていただくとよいでしょう。飲み込めるサイズの小さな物は、犬が届く場所に置かないケーブル、ひも、紐状のものをは引き出しの中に隠すおもちゃは犬用の丈夫で飲み込みにくいものを選び、破損したらすぐ交換ゴミ箱はフタ付きのものにし、犬が入れない場所や高い場所に設置する人間の食べ物には近づかないようにする(特に、骨やチョコレート、玉ねぎ等に注意)お散歩時は、ゴミが少ない道や公園を選ぶ(花見シーズン等は特にご注意)犬の口元が見えない箇所(草が生い茂っている場所など)は特に注意深く見守る散歩時は拾い食い防止のため「マテ」や「くわえさせない」コマンドを確立する犬の行動をよく観察し、何か変だと思ったら早めに対応子犬は特にご注意を!誤飲をしてしまうワンちゃんには、多くのケースで予兆や特徴があります。「食べ物への執着が強い子」「おもちゃを意地でも離さない子」「いたずら大好きな子」等、その子の性格の影響も受けます。シニアになってから誤飲癖がつくということはあまりなく、多くの子は1歳未満のパピーの時に誤飲する癖がついてしまいます。「こんな小さい身体・小さい口でこんなものを!?」という誤飲もよくありますので、普段から注意深く見守りましょう。三鷹アニウェル動物病院での対応当院へも、誤飲で来院するワンちゃん・ネコちゃんは多いです。誤飲の内容も様々。保冷剤や魚の骨、靴下など様々なものを飲み込んでしまいます。もしも、愛犬が誤飲をしてしまった場合や誤飲が疑わしい場合には、すぐにご相談いただきますようお願いします。誤飲してしまった時は、とにかく応急処置が大切です。家庭で出来る応急処置には限りがありますので、経過観察をせずにすぐに動物病院へ向かってください。当院では、状況にあわせて以下のような処置を行います。問診による正しい状況把握レントゲン検査・超音波検査による異物の位置確認催吐処置内視鏡による異物摘出(適応があれば)外科手術(消化管切開・腸切除など)予防指導誤飲のリスクをゼロにするのは難しいかもしれません。しかし、飼い主さまが普段から気を付けることと、適切な準備、迅速な対応で被害を最小限に抑えることができます。何か気になることがあれば、遠慮なく当院までご相談ください。