犬や猫の避妊・去勢は、望まない妊娠を防ぐ以外にも、生殖器やホルモン分泌異常による病気を予防する目的もあります。特にシニア以降は、これらの病気の発症リスクが高い傾向にあります。妊娠・繁殖を望まない場合、早期の避妊・去勢手術が予防には効果的です。今回は、「犬の避妊手術」について解説いたします。◆避妊去勢に適した時期について避妊手術は、主に生後6〜7か月頃から行うことができます。女の子は、初回発情前に手術を行うことで、乳腺腫瘍や子宮の病気を防ぐ効果が期待されます。ただし、体格や犬種によっては、骨や関節の成長を考慮して、手術の時期を遅らせる場合もあります。また、年齢を重ねると麻酔のリスクも上がるため、健康状態を把握するために手術前に種々の検査をお願いすることがあります。妊娠・繁殖のご予定がない場合は、お早めのご相談をおすすめしています。◆犬の避妊手術のメリット①乳腺腫瘍の発症リスク低下(参考)Schneider R et al. (1969)生涯リスク避妊時期ごとの予防効果補足25.0-30.0%初回発情前:0.5%1回目発情前:8.0%2回目発情前:26.0%・初回発情前が最も効果的であることが確認されている・2回目発情以降の避妊での発症リスクの低下は望めないという研究結果が出ている・腫瘍の約50%は悪性腫瘍②子宮蓄膿症の発症リスク低下(参考)Hagman M. (2016)生涯リスク避妊時期ごとの予防効果補足15.0-24.0%避妊手術でほぼ100%予防・子宮蓄膿症は10歳以上の高齢犬に多い疾患③卵巣腫瘍の発生リスク低下(参考)Smith FO. (2006)生涯リスク避妊時期ごとの予防効果補足0.5-6.0%避妊手術でほぼ100%予防・悪性腫瘍の例は少ないが、まれに悪性であるという研究結果もあり④偽妊娠・発情ストレスの軽減(参考)Teske E et al. (2002)生涯リスク避妊時期ごとの予防効果補足多くの雌犬でみられる避妊手術により発情行動や偽妊娠を抑制・ホルモン変動に伴う乳汁分泌などの軽減が期待できる◆犬の避妊手術のデメリット①全身麻酔と手術のリスク内容補足・対処法出血・感染・麻酔反応などの合併症の可能性術前検査や安全管理でリスク軽減②術後の体重増加内容補足・対処法性ホルモンの減少により代謝が落ち、食欲が増す傾向がある食事と運動でコントロールすることが可能③整形外科疾患(参考)Hart et al.(2013), Benjamin et al.(2020)内容補足・対処法特にLR、GRの早期の避妊去勢群で、股関節形成不全・前十字靭帯断裂のリスクが優位に上昇・大型犬の手術は生後12-18ヶ月以降を推奨・小型犬で問題ないことが多い④縫合糸反応性肉芽腫内容補足・対処法縫合糸などの異物に対する反応しこりや炎症が生じることがある・特定の糸で発生しやすい・肉芽腫部位の摘出(再手術)することで対処する・免疫抑制剤投与で対処する⑤尿失禁(ホルモン性)内容補足・対処法大型犬や高齢犬に多い早期避妊でも起こる場合あり・発症率は低いとされている・お薬の服用で対処可能⑥ホルモンの変化による毛質の変化内容補足・対処法やわらかくなる、うねるなどの被毛変化美容的な問題のみで、健康への影響はなし⑦病気発症のリスク内容補足・対処法骨肉腫、尿路疾患、自己免疫疾患などのリスクがわずかに上昇する可能性あり因果関係は不明で発症頻度は低いとされている◆当院での対応について病気を発症していない中での避妊・去勢の手術の実施を行うか否かを悩まれる方も多いかと思います。ご自身やご家族だけでは決めきれず、より詳細な情報を希望される際は、お気軽に当院にご相談ください。事前に担当医と共に手術の内容やリスク、入院スケジュール、費用といった事項を相談させていただき、その子とご家族にとって最もふさわしい方法を、一緒に考えていきます。避妊・去勢の手術の実施を検討している方、悩まれいる方は当院までご相談ください。些細なことでも構いませんので、お考えをお聞かせください。三鷹アニウェル動物病院では、武蔵野・三鷹・小金井・調布・狛江を中心に、多くの患者様から避妊手術、去勢手術のご相談をいただいております。◆電車でお越しの方・JR中央線 武蔵境駅から徒歩15分・西武多摩川線 新小金井駅から徒歩20分◆車でお越しの方・当院の前に、2台の専用駐車場(無料)あり・満車の場合は、近隣のコインパーキングをご利用ください(1時間分の駐車料金を弊社にて負担いたします)【提携パーキング】・タイムズブックオフ武蔵境連雀通り店◆バスでお越しの方・JR中央線「武蔵境駅」「三鷹駅」「東小金井駅」、西武多摩川線「新小金井駅」、京王線「調布駅」「西調布駅」等の複数駅からのバス乗車が可能です・バス停「武蔵境営業所」「井口新田」「連雀通り」が最寄りとなります