こんにちは。三鷹・武蔵境・新小金井・調布エリアで診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。今回のコラムは、猫ちゃんの『避妊手術』について解説します。はじめに猫の避妊手術には、望まない妊娠を防ぐだけでなく、乳腺腫瘍や子宮の病気、発情によるストレスや問題行動の予防にもつながります。しかし、病気ではない猫ちゃんに対して手術をすることは、ご家族にとってはとても不安なことかと思います。三鷹アニウェル動物病院にも、「まだ小さいのに本当に手術する必要があるの?」「避妊するなんてかわいそう…」「手術にリスクはないの?」などの猫ちゃんの避妊手術に関してのお悩みやご質問を多くいただきます。実際に、避妊手術には全身麻酔のリスクもありますし、入院の必要も出てきます。避妊による病気の予防等のメリットと共にデメリットもありますので、本コラムでは動物病院としての目線でお伝えさせていただきます。大切な愛猫のためにも、ご家族だけで悩まずにぜひ動物病院のことも頼っていただけたらと思います。猫の発情と妊娠の仕組みについて猫は6か月~8か月齢頃(体重の目安として2.0~2.5kg程度)から性成熟を迎え、発情の兆候が現れ始まります。時期には個体差がありますので、発育状況についてはぜひ動物病院とご相談いただけたらと思います。猫の発情は、寒く餌が少ない冬よりも、春先~夏にかけて発情する傾向にあります。これは、日照時間・気温と連動する「季節繁殖」という本能によるものです。しかし、室内で生活する猫は、照明や冷暖房の生活環境の影響を受けるため、季節に関わらず発情を繰り返すこともあります。また、猫の排卵は人間や犬と異なり、発情の度に排卵するのではなく、交尾による刺激により排卵が促される(交尾排卵と言います)ということです。そのため、交尾後は確実に排卵するため、かなり高い確率で妊娠することとなります。そして、猫には生理がありません。これも先ほどの交尾排卵による影響です。生理がないため、別の行動で発情の兆候をつかみましょう。【発情中に見られるサイン】大きな声で鳴く(夜間に多くみられます)頭や身体をこすりつける、床に転がるような動きをとるおしりを突き出すポーズをとるトイレ以外での排尿が多い落ち着きがなく、外に出たがる様子が増える普段よりも活動的になる食欲がなくなるこれらのサインは、発情期におきる本能のため、行動をやめさせることはほぼ不可能です。こうした発情状態は猫にとっても大きなストレスにもなります。避妊手術に適した時期猫の避妊手術に適した時期としては、初めての発情がおきる6か月~8か月齢よりも前に行うことが推奨されます。しかし、避妊手術が早すぎると、骨の発育への悪影響が起きる可能性があります。それぞれの個体で発育のスピードは異なります。また、完全な室内暮らしなのか屋外にも出るのか、多頭飼いなのか、他の猫は避妊去勢手術をしているのか等の生活環境もあります。三鷹アニウェル動物病院では、それぞれの猫ちゃんにあった方針を共に考えられたらと思います。猫の避妊手術のメリット①乳腺腫瘍の発症リスク低下(参考)Schneider R et al., 1969, J Natl Cancer Inst. Overley B et al., 2005, J Am Vet Med Assoc.生涯リスク避妊時期ごとの予防効果補足11-16%初回発情前:0.5-1.0%1回目発情前:8.0%2回目発情前:26.0%・初回発情前が最も効果的であることが確認されている・2回目発情以降の避妊での発症リスクの低下は望めないという研究結果が出ている・腫瘍の約85~90%は悪性腫瘍②子宮蓄膿症の発症リスク低下(参考)Grayson B et al., 2018, Small Anim Med Rev. 生涯リスク避妊時期ごとの予防効果補足2.2%避妊手術でほぼ100%予防・中高齢でリスクが大幅に増加③卵巣腫瘍の発生リスク低下(参考)Saba & Lawrence, 2016, Vet Clin Small Anim.生涯リスク避妊時期ごとの予防効果補足0.7-3.6%避妊手術でほぼ100%予防・卵巣顆粒膜細胞腫などの性索間質系が最多 ・転移報告あり④子宮腫瘍の発生リスク低下(参考)Margaret M et al., 2003, Vet Pathology.生涯リスク避妊時期ごとの予防効果補足0.2-1.5%避妊手術でほぼ100%予防・悪性腫瘍の例は少ないが、まれに悪性であるという研究結果もあり⑤発情によるストレスの軽減発情に伴い猫には大きなストレスがかかります。また、問題行動は、一緒に暮らす人間にとっても負担が増えてしまうこともあります。避妊手術で発情期の行動のすべてがなくなるわけではありませんが、多くの子の行動がおさまる傾向があります。猫の避妊手術のデメリット①全身麻酔と手術のリスク内容補足・対処法出血・感染・麻酔反応などの合併症の可能性術前検査や安全管理でリスク軽減②術後の体重増加内容補足・対処法性ホルモンの減少により代謝が落ち、食欲が増す傾向がある食事と運動でコントロールすることが可能③ホルモン性の行動変化内容補足・対処法発情行動(鳴く・落ち着きがないなど)がなくなる一方、穏やかになる/活動性が低下することもある*ただし、根拠はなく、性格が変わることはほぼありません④尿失禁内容補足・対処法犬に比べて猫の場合は非常に少ないとされているが、加齢とともにみられるという報告あり*ただし、エビデンスは乏しいと言えます⑤縫合糸反応性肉芽腫内容補足・対処法手術に使われた縫合糸に体が反応し、腹部や手術部位にしこりや炎症を起こすことがある。外科的な処置が必要になる場合もある。・特定の糸で発生しやすい・肉芽腫部位の摘出(再手術)することで対処する・免疫抑制剤投与で対処する避妊手術には、将来の病気や望まない妊娠を防ぐ大きなメリットがありますが、一方で、体質によっては太りやすくなったり、手術後の一時的な不調や通院が必要になることもあります。それぞれの子の性格や体調に合わせて、事前にご相談しながら進めていくことが大切です。三鷹アニウェル動物病院での対応について当院では、武蔵野市・三鷹市・小金井市・調布市・西東京市を中心に、多くの患者様から避妊手術、去勢手術のご相談をいただいております。病気を発症していない中での避妊の手術の実施を行うか否かを悩まれる方も多いかと思います。ご自身やご家族だけでは決めきれず、より詳細な情報を希望される際は、お気軽に当院にご相談ください。事前に担当医と共に手術の内容やリスク、入院スケジュール、費用といった事項を相談させていただき、その子とご家族にとって最もふさわしい方法を、一緒に考えていきます。避妊・去勢の手術の実施を検討している方、悩まれいる方は当院までご相談ください。些細なことでも構いませんので、お考えをお聞かせください。