こんにちは。
三鷹・武蔵境・小金井・調布・西東京エリアを中心に診察を行う、三鷹アニウェル動物病院です。
ふと、「猫にも血液型ってあるのかな?」「輸血するとき、猫の血液ってどうなっているの?」と思ったことはありませんか?
人間の血液型の話は昔からよくされますが、愛猫家であっても猫の血液型について正しく把握されている方は意外と少ないのではないでしょうか?
今日はそんな『猫の血液型』についてのおはなしです。
はじめに
私たちヒトと同じように、猫にも血液型があります。
猫では、ほかの動物に比べて 血液型の違いが輸血の安全性に大きく影響することが知られています。普段の生活で血液型を意識することはほとんどありませんが、大きな手術、重度の貧血、出血を伴う病気などで輸血が必要になった場合、血液型は猫の命を守る上で非常に重要な要素となります。
猫の血液型は何種類あるの?
猫の血液型は、主にA型、B型、AB型の3種類 に分けられます。
ヒトに似た分類ですが、猫にはO型はありません。日本の猫では A型が最も多く、全体の 70〜90% を占めています。次いで B型が10〜30%、AB型はごくまれとされています。
また、血液型の割合は猫種によって異なります。特に B型の割合が多い猫種 として、次のような猫が知られています。なかでも 、ブリティッシュショートヘアの約40%がB型 という報告があります。
【B型の割合が多い猫種】
ブリティッシュショートヘア
デボンレックス
コーニッシュレックス
エキゾチックショートヘア
スコティッシュフォールド
ペルシャ
猫では輸血の際に特に注意が必要です
生まれつき多くの猫が、自分とは異なる血液型を攻撃する「抗体*1」 を血液の液体成分(血漿)の中に持っています。
このため、猫は初めての輸血であっても血液型が合わない血液を輸血されると、入ってきた血液を異物と見なし攻撃してしまい強い拒否反応(急性輸血反応)を起こしてしまうことがあります。
急性輸血反応は、輸血中から24時間以内に発生する有害事象で、頻呼吸、頻脈、発熱、嘔吐、呼吸困難、赤血球の破壊(溶血)、アナフィラキシーショックなどの症状が現れ、重度の場合は命に関わる危険性があります。
一方、犬は生まれつきほかの血液型に対する抗体をほとんど持っていないため、初回の輸血で問題が起こることは稀です。しかし、2回目以降の輸血では副反応が出やすいという特徴があります。この点が、猫と犬の輸血における大きな違いです。
*1 抗体とは
抗体とは、体内に侵入した異物を発見し、攻撃することで体を守る「見張り役」のような物質です 。 血液型は、赤血球の表面にある目印(抗原)と血液中の液体成分(血漿)に含まれる見張り役(抗体)の組み合わせで決まります。この見張り役(抗体)は異なる赤血球の目印(抗原)を異物と認識すると、それを攻撃してしまいます。
輸血の際にまず行う「血液型検査」
猫の輸血において、血液型(A・B・AB型)が一致していない場合、初回であっても重篤な副作用を引き起こす危険性があります。
このため、安全な輸血を実施するためには、血液型判定キットなどを使用し、事前に必ず血液型を確認することが極めて重要です。血液型検査は、猫の輸血治療を開始する上で最も重要な最初のステップとなります。
血液型が同じでも輸血反応が起こることがあります
血液型が一致していても、まれに拒絶反応(急性輸血反応)が起こることがあります。これは、過去の輸血や妊娠・出産の経験などにより、既に他の赤血球を攻撃する抗体が存在していることが主な原因として挙げられます。
また、猫の赤血球にはA・B・AB型以外の目印(抗原)が存在することも、輸血反応を引き起こす一因となり得ます。代表的なものとして「Mik(ミック)抗原」と呼ばれる赤血球表面の目印があり、血液型が同じでも、この抗原の違いがあると体が輸血された血液を「自分とは違う血液」と認識し、輸血反応を引き起こすことがあります。
安全性を高めるための「クロスマッチ検査」
輸血の安全性をできるだけ高めるため、血液型だけでは分からない赤血球同士の相性を確認する目的で クロスマッチ検査(交差適合試験) を行います。この検査では、輸血を受ける猫(レシピエント)と血液を提供する猫(ドナー)の血液を少量ずつ混ぜ合わせ、次の2つの反応を確認します。
主反応: レシピエントの体がドナーの赤血球を攻撃しないかを確認
副反応: ドナーの血液がレシピエントの体に悪影響を与えないかを確認
輸血を安全に行うための「2段階チェック」 | |
① | 血液型検査(A / B / AB 型を確認) |
② | クロスマッチ検査(血液同士の細かい相性を確認) |
猫の血液型のしくみ
赤血球の表面には、血液型を決める 「目印(抗原)」 があります。
A型の猫 : Aの目印
B型の猫 : Bの目印
AB型の猫: AとBの両方の目印
多くの猫は、生まれつき体の中に 自分とは違う血液型の赤血球を攻撃する抗体を血液中の液体成分(血漿)の中に持っていますが、その強さは血液型によって異なります。
A 型の猫 | B型を攻撃する抗体を持っているが、比較的弱い。 |
B 型の猫 | A型を強く攻撃する抗体を持っており、不適合輸血では強い反応が起こり得る。 |
AB 型の猫 | A型・B型を攻撃する抗体をほとんど持っていない。 |
猫の輸血時の基本ルール
輸血に適切な血液型の組み合わせ

AB型の猫の輸血について
AB型の猫への輸血は、AB型の血液が最も安全ですが、AB型の血液は非常に稀であるため、準備が間に合わない場合は、A型の血液で代用することがあります。
これは、AB型の猫がA型を攻撃する抗体をほとんど持たないため、A型の赤血球を受け入れやすいためです。
一方で、AB型の猫にB型の血液を輸血することはできません。
それは、B型の血液の液体成分(血漿)に、A型を強く攻撃する抗体が含まれており、AB型の猫の赤血球表面の目印(AとBの目印)に反応する可能性があるためです。したがって、AB型の猫の輸血では「AB型を最優先とし、次いでA型を使用、B型は使用しない」という方針が取られます。
子猫で注意したい「新生子溶血」
猫では、母猫と子猫の血液型が合わない場合、授乳によって子猫の赤血球が壊れてしまう病気が起こることがあります。これを新生子溶血 といいます。
特に注意が必要な組み合わせは、『母猫がB型 × 子猫がA型またはAB型』 の場合です。B型の母猫の 初乳(最初のお乳) には、A型の赤血球を攻撃する抗体が多く含まれています。この初乳を飲んだ子猫の体の中で、赤血球が壊されてしまうことがあります。
新生児溶血で見られる代表的な症状
元気がない
うまくミルクが飲めない
皮膚や粘膜が黄色くなる
突然死
新生子溶血を予防するには
猫の新生子溶血を防ぐためには、繁殖を計画する際にあらかじめ両親の血液型を把握しておくことが非常に重要です。
両親の血液型を知ることで、以下のような予防策をとることができます。
危険な組み合わせでの交配を避ける
出産後の安全な授乳方法を検討し、準備する
なお、生まれたばかりの子猫は、生後24〜48時間という短い期間のみ、母乳に含まれる抗体を腸から吸収できる特別な機能(受動免疫)を持っていますが、この機能は生後48時間ほどで失われると考えられています。
そのため、生後48時間を過ぎた後は、母乳中の抗体が子猫の血液中に吸収されることはほとんどなくなるため、血液型が合わない母猫の母乳を飲んでも新生子溶血が起こる危険性はほぼなくなります。
輸血を安全に行うために
輸血に伴うトラブルは多くはありませんが、特に猫では、血液型が合わない場合のリスクが犬よりも高いことが分かっています。輸血をより安全に行うため、以下の検査を実施し、リスクを可能な限り軽減するよう努めています。
血液型検査
クロスマッチ検査
これらの検査は、安全な輸血治療に不可欠な重要な準備となります。
三鷹アニウェル動物病院について
三鷹アニウェル動物病院は、三鷹市井口を拠点に日々の診療を行っております。
三鷹市・武蔵野市・小金井市・西東京市・調布市など、幅広い地域の方々にお越しいただいております。
「なんとなく元気がない」「いくつか気になる症状があるけれど、どこに相談したらいいかわからない」そんなときこそ、見逃されがちな小さなサインをていねいにくみ取りながら、その子にとって最もふさわしい方法を、一緒に考えていきます。
犬・猫・うさぎ・ハムスター・ハリネズミなど、幅広く診療を行っております。
休診日を設けておらず、どの曜日でも診療をお受けいただけますので、ご安心いただけたらと思います。
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